コラム
Column
2026/01/11
目の下にできたクマは、疲れた印象や老けた印象を与え、多くの方の悩みの原因となっています。特に、下を向いたり光の当たり方によって濃く見える「黒クマ」の治療を検討されている方は多いのではないでしょうか。
黒クマの主な原因は、加齢などによる目の下のたるみやふくらみと、その下の凹みによってできる影です。
この影を根本的に改善するための施術が、「クマ取り」です。しかし、クマ取りのみでは、かえって目の下が凹みすぎたり、疲労感が残ってしまうリスクがあるのをご存知でしょうか。
そこで注目されているのが、脱脂と脂肪注入を同時に併用する治療法です。
本記事では、クマ取りにおける脂肪注入のメリットとデメリット、種類、そしてヒアルロン酸注入との比較など、知っておくべき情報を美容外科の視点から詳しく解説します。

目の下のクマ、特に黒クマは、構造的な問題によって生じる影です。
クマの治療として、まず突出した眼窩脂肪を除去する「脱脂」が必要です。しかし、脱脂でふくらみを平坦にしただけでは、元々あったくぼみが残り、かえって凹みが強調され、クマが改善されない可能性があります。
そこで、脱脂と同時に、くぼみの部分に自身の脂肪を注入し、ボリュームを補うことで、目元全体を平坦な状態に近づけることができます。
脂肪注入は、単に影を消すだけでなく、目元全体のハリと若々しさを回復させることを目的としています。
「クマの膨らみが気になるから、脱脂のみで良いのでは?」と考える方もいますが、脱脂のみの施術には以下のようなリスクが伴います。
この凹みを防ぎ、目元を自然で滑らかな仕上がりにするために、脂肪注入は欠かせない補完的な役割を担います。
脂肪注入は、脱脂によってできたスペースや元々のくぼみに、脂肪を移植することで、ボリュームを繊細に調整する必要があるのです。

クマ取りにおける脂肪注入では、採取した脂肪をそのまま注入するわけではありません。脂肪は、定着率や仕上がりの滑らかさを高めるために、不純物を除去し、濃縮・加工されます。
ここでは、美容外科で一般的に用いられる代表的な脂肪注入の種類をご紹介します。
| 種類 | 特徴 | 定着率 | 適応箇所 |
| コンデンスファット(CRF) | 採取した脂肪から、遠心分離機で水分や不純物を除去し、濃縮した脂肪。通常の脂肪よりも定着率が高く、凹みの改善に広く用いられます。 | 比較的高い(約50〜70%) | 目元のくぼみ、額、頬など |
| マイクロCRF (マイクロファット) | コンデンスファットをさらに細かく乳化(砕く加工)したもの。脂肪細胞が小さいため、目元など皮膚の薄い部分に注入しても凹凸になりにくく、滑らかな仕上がりが期待できます。 | 高い(約60〜80%) | 目元の凹凸、シワ、唇など繊細な部分 |
| ナノファット(Nano Fat) | マイクロCRFをさらに細かく乳化し、フィルターで脂肪細胞を除去したもの。脂肪細胞そのものは少なく、幹細胞や成長因子を多く含み、皮膚のハリやシワの改善といった肌質改善に効果を発揮します。 | 高い(幹細胞の定着による効果が高い) | 皮膚の薄いシワ、色素沈着したクマ(青クマ・茶クマ)など |
採取した脂肪が注入した部分に定着し、自身の組織として生着する割合を「定着率」と呼びます。
この定着率は、脂肪の加工方法や、注入する医師の技術、そして患者さまの術後の経過によって個人差があります。
特に目元は皮膚が薄くデリケートな部分であるため、脂肪の粒が大きいと凹凸やしこりになりやすいリスクがあります。そのため、クマ取りではマイクロCRF(マイクロファット)やナノファットといった、濃縮と微細化の加工を施した脂肪を使用することが必要とされます。
適切な種類の脂肪を選び、高い技術で注入することで、定着を促し、より自然な仕上がりを目指すことができます。
クマ取りの治療法として脂肪注入を選ぶ際、どのようなメリットとデメリットがあるのかをしっかりと理解しておくことが大切です。
クマ取りにおける脂肪注入の最大のメリットは、その持続性と自然な仕上がりにあります。
注入した脂肪が定着し、目元の組織として生着すれば、ヒアルロン酸のように時間とともに体内に吸収されることがありません。定着した脂肪は自身の組織となるため、効果が半永久的に持続することが期待できます。これにより、ヒアルロン酸のように数ヶ月〜1年程度で再注入する必要がなく、長期的な費用や時間の節約になります。
注入するのは自身の脂肪組織であるため、目元に注入しても異物感がほとんどなく、肌に馴染みやすいのが特徴です。また、マイクロファットなどの微細な脂肪を注入することで、皮膚の薄い目元でも凹凸になりにくく、非常に自然な仕上がりになります。脂肪に含まれる幹細胞などの効果で、皮膚にハリが出るという副次的なメリットも期待できます。
一方で、脂肪注入は手術を伴う施術であるため、いくつかのデメリットやリスクも存在します。
注入した脂肪がどれだけ定着するかには個人差があります。定着率は医師の技術や脂肪の加工方法に大きく左右されますが、患者さまの体質や術後の過ごし方によっても変動します。もし定着率が低い場合、凹みが改善されずに残ったり、左右差が生じたりして、追加の注入が必要になる可能性があります。
脂肪注入は、目元という繊細な部分に微細な脂肪を均一に注入する高度な技術が必要とされます。注入量が多すぎたり、注入する層や方法が不適切だと、注入した脂肪が一部で固まってしこりになったり、凹凸が生じたりするリスクがあります。
脂肪注入を行うには、太もも、お腹、お尻などの部分から、脂肪を採取する必要があります。採取部位には数ミリ程度の傷跡が残ります。通常は目立たない部分を選びますが、術後しばらくは内出血や腫れ、痛みが生じます。この採取部位のダウンタイムも考慮する必要があります。

目の下のクマによる凹みやくぼみを改善するためのボリュームアップ治療として、「脂肪注入」と「ヒアルロン酸注入」は代表的な方法です。どちらを選ぶべきか、主要な4つの観点から両者を比較し、ご自身の希望に合った治療法を見つけるための判断材料にしてみてください。
| 比較項目 | 脂肪注入 | ヒアルロン酸注入 |
| 持続性 | 半永久的な効果が期待できる | 一時的(1~2年程度で吸収されるが、1~2割程は定着。繰り返しの注入で持続性が高まる。) |
| ダウンタイム | 脱脂に加え脂肪採取部位も発生するため、長め(腫れ・内出血が週単位) | 短め(注射のみの施術で、腫れや内出血も数日程度で改善) |
| 費用(価格) | 1回の施術は高額だが、半永久的な効果が期待できるため、長期的な費用対効果は高い | 1回は安価だが、持続のために注入を繰り返す必要があり、トータル費用がかさむ可能性がある |
| 主なリスク | 定着率の個人差、しこり、凹凸、採取部位の傷跡 | 吸収による再注入の必要性、凹凸、アレルギー、血管塞栓リスク |
脂肪注入は、自身の脂肪を使うため異物反応が少なく、一度定着すれば半永久的な効果が期待できる点が大きなメリットです。特に脱脂と同時に併用することで、クマの原因を根本的に改善できます。
一方、ヒアルロン酸注入は手軽でダウンタイムが短いというメリットがありますがデメリットとしては、長期的に見てしこりが出来るリスクは高いです。ご自身の症状とライフスタイルに合わせて、最適な治療法を医師と相談して決めることが重要です。
脂肪注入を伴うクマ取り手術は、通常の脱脂に加えて、脂肪の採取から注入までを高度な技術で実施する必要があります。ここでは、具体的な施術の手順と、術後の経過について詳しく解説します。

脂肪注入を含むクマ取りの施術は、主に以下のステップで進行します。
STEP 1:脂肪採取部位の決定と麻酔
カウンセリングに基づき、太ももなどから脂肪を採取する部位を決定し、局所麻酔や点滴麻酔を使用して痛みを軽減します。
STEP 2:脂肪の採取と加工
太ももなどの部位から必要な脂肪を採取します。その脂肪を遠心分離機にかけて濃縮し、不純物を除去します。目元の繊細な皮膚に適したマイクロファットなどの種類に加工されます。
STEP 3:経結膜脱脂法による脂肪の除去
下まぶたの裏側(結膜)を切開し、クマの原因となる突出した眼窩脂肪を除去(脱脂)し、ふくらみを改善します。
STEP 4:脂肪の注入
脱脂後に残ったくぼみや凹みの部分に、加工した脂肪を注射器で微細に注入します。凹凸を作らないよう、均一に分散させる技術が必要です。
脂肪の採取、加工、注入の各STEPにおいて、高い技術力が求められます。特に脂肪の定着率や仕上がりの自然さは、医師の経験と技術に大きく左右されるため、クリニック選びが非常に重要になります。

脂肪注入を併用した場合のダウンタイムは、脱脂のみの場合と比較して時間が長くなる傾向があります。
| 期間の目安 | 主な症状 | 留意すべきこと |
| 当日〜数日 | 目元と採取部位に腫れや痛み、内出血が出現。腫れのピークとなる可能性があります。 | 冷却を行い、安静に過ごすことが必要です。飲酒や激しい運動は控えてください。 |
| 1〜2週間 | 腫れが徐々に改善し、内出血が黄色く変化しながら吸収されます。採取部位の痛みも引いていきます。 | メイクで内出血をカバーできるようになります。湯船での入浴は避け、シャワーのみにしてください。 |
| 1ヶ月 | 腫れや内出血はほぼなくなり、注入した脂肪の定着が始まります。 | 仕上がりの経過観察期間です。医師の指示に従い、経過を確認します。 |
術後の過ごし方は定着率に影響します。医師の指導を守り、患部を刺激しないよう注意することが大切です。

脂肪注入は半永久的な効果を期待できますが、脂肪の定着率には個人差があり、術後の対応や過ごし方が仕上がりを大きく左右します。
注入した脂肪が定着せずに凹みが残る、あるいはしこりや凹凸ができてしまうといったリスクはゼロではありません。万が一不満が生じた場合に安心して対応を受けるため、クリニックのアフターケアと保証制度を事前にしっかりと確認しておく必要があります。
具体的には、「定着不足による追加注入」や「凹凸・しこりの修正対応」などが、無料保証の範囲に含まれているかをカウンセリング時に医師に尋ねてください。保証制度が充実していることは、そのクリニックが技術に自信を持ち、患者さまの不安に寄り添う姿勢の表れでもあります。
注入した脂肪を目元の組織としてしっかり定着させるためには、術後のケアが非常に重要です。
| 定着率を高めるための行動 | なぜその行動が重要なのか |
| 喫煙を避ける(術後1〜2週間は特に厳禁) | ニコチンが血管を収縮させ、脂肪細胞に必要な酸素と栄養の供給を妨げ、定着率を大幅に低下させる可能性があるため。 |
| 注入部位を強く刺激したり、マッサージしたりしない | 注入された脂肪はデリケートであり、外部からの圧力や刺激で吸収されやすくなるため。 |
| 過度なダイエットを控える(術後1ヶ月程度) | 定着した脂肪細胞も体の脂肪と同様に増減する可能性があり、急激な体重減少は定着を妨げるため。 |
| バランスの取れた栄養摂取と十分な睡眠 | 脂肪の定着には体の回復力と代謝が必要であり、体を健康な状態に保つことが定着を促すため。 |
医師の指導をしっかりと守り、安静に過ごすことが、半永久的な効果を実現し、目元の改善を成功させる鍵となります。
クマの治療法を選ぶ際には、ご自身の症状、希望する効果の持続性、そしてダウンタイムへの許容度を考慮することが重要です。脂肪注入がどのような方にとって最適な治療法なのかを明確に分類します。
脂肪注入は、以下のような希望や症状を持つ方に最適です。
| おすすめのタイプ | 理由 |
| 黒クマがメインで目の下のくぼみが深い人 | 脱脂後の凹みを自身の脂肪で補完することで、ふくらみとくぼみを同時に改善できるため。 |
| 半永久的な効果を希望する人 | 注入した脂肪が定着すれば、ヒアルロン酸のように吸収される可能性が低く、再注入の必要がないため。 |
| 自身の組織で治療したい人 | 自身の脂肪細胞を使用するため、異物治療に抵抗がある方や、仕上がりの自然さを求める方に安心です。 |
| 目元の皮膚のハリやシワも改善したい人 | 脂肪を濃縮・加工したマイクロファットやナノファットに含まれる幹細胞などの効果で、肌質改善も期待できるため。 |
一方で、ダウンタイムを最小限に抑えたい方や、長期的なしこりのリスクを避けたい方、
軽度のくぼみを改善したい方には、脂肪注入よりもヒアルロン酸注入が適しています。ヒアルロン酸は注射のみの施術であるため手軽であり、施術時間も短く、翌日からのメイクや仕事復帰がしやすいというメリットがあります。
脂肪注入は効果の持続性が高い治療法ですが、施術の難易度が高く、クリニック選びが仕上がりを大きく左右します。ここでは、特に注意すべき料金面と失敗例について解説します。
脂肪注入は、脱脂のみの施術と比較して費用が高くなる傾向があります。これは、脂肪採取、濃縮・加工、そして注入という手間のかかる工程が含まれるためです。
料金の相場を確認する際には、以下の点に注意してください。
脂肪注入における失敗例として、しこり、凹凸、過剰注入による膨らみなどが挙げられます。
これらの失敗を回避するための最大のポイントは、脂肪の採取、加工、そして注入のすべてに熟練し、症例経験が豊富な医師を選ぶことです。医師の技術と経験が、仕上がりの自然さと定着率、そして安心に直結します。
読者の方がクマ取りの脂肪注入に関して抱きがちな疑問について、Q&A形式で明確に回答します。
はい、注入した脂肪は、すべてが定着するわけではありません。注入された脂肪細胞のうち、定着しなかった部分は術後の1〜3ヶ月で体内に吸収され、減少していきます。この定着率には個人差があり、医師は吸収される量を予測して注入しますが、定着しきれなかった脂肪がなくなることで、一時的に凹みが再発したように見える可能性もあります。しかし、一度定着した脂肪は自身の組織となるため、その後は半永久的な効果が期待できます。
クマ取りと脂肪注入を同時に施術した場合、当日は洗顔やメイクは控えていただく必要があります。一般的に、翌日から目元以外の洗顔やメイクは可能とするクリニックが多いですが、目元の注入部位や脱脂部位のメイク開始時間については、医師の具体的な指示に厳密に従ってください。術後の内出血や腫れをメイクでカバーできるようになるのは、経過にもよりますが数日から週単位となる可能性があります。
クマ取りは下まぶたの裏側から施術を行うため、目元の表面に切開による傷跡が残ることはありません。脂肪の注入も注射針で行うため、目元には注射跡のみが残りますが、これは非常に小さく、時間とともに目立たなくなります。ただし、脂肪採取部位には、カニューレを挿入した数ミリ程度の小さな傷跡が残ります。この傷跡も、医師が目立たない部位を選んで採取するため、時間の経過とともにほとんど気にならなくなるケースがほとんどです。
クマ取りに脂肪注入を併用する治療は、黒クマの構造的な原因を根本から改善できる点が最大の特徴です。特に、脱脂のみで生じやすい凹みや疲労感を防ぎ、自然で若々しい目元を長期的に維持したい方にとって、有力な選択肢といえるでしょう。
ただ、脂肪注入は定着率に個人差があり、医師の技術力や術後の過ごし方が仕上がりを大きく左右します。そのため、施術内容やリスクを十分に理解したうえで、症例経験が豊富でアフターケア体制が整ったクリニックを選ぶことが何より重要です。

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